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宮崎汎のモロッコ見聞録 #4 マラケシュの熱気 ― ジャマ・エル・フナ広場にて

2026年08月31日 7:45

もう一つ、モロッコで魅力的な都市を挙げるなら、マラケシュであろう。

この街の中心に立つと、まず圧倒されるのがジャマ・エル・フナ広場である。

そこは昼も夜も、人、人、人で埋め尽くされ、まさにエネルギーが渦巻く空間である。屋台が並び、食べ物の匂いが立ちこめ、大道芸人たちがそこかしこで技を披露している。観客の喝采と笑い声が絶え間なく響き、広場全体が一つの舞台のようである。

まさに「興奮のるつぼ」といった表現がふさわしい。

人々の熱気に包まれながら歩いていると、自分がその流れに飲み込まれていくような感覚になる。

広場の一角には、独特の衣装をまとった水売りの姿がある。大きな笠をかぶり、赤い装束で人々の目を引くその姿は、どこか象徴的でもある。

しかし、うっかりカメラを向けようものなら、モデル料を求められることもあり、旅人は少し戸惑うことになる。

また、蛇使いや軽業師、占い師、似顔絵描きなどが、広場のあちこちで人々を取り囲み、喧噪の中でそれぞれの世界をつくっている。

この広場に面したメディナ(旧市街)には、あらゆる店がひしめき合っている。ぶらぶらと歩いているだけでも、次々と新しい発見がある。

あるとき、ミントティーに使う香り高いミントを売る店を見つけた。しかし最初は、店先に草が山のように積まれているだけに見え、何を扱っているのか分からなかったほどである。

マラケシュには、喧噪とは対照的に、静かな美しさも存在する。

新市街には緑豊かなゴルフ場があり、その一角にはマジョレル庭園が広がっている。鮮やかな色彩と静寂の中で、先ほどまでの喧騒が遠く感じられる。

旧市街の赤い土壁の街並みは、朝日や夕日に照らされると、幻想的な色合いに変わる。

同じ都市の中に、これほどまでに対照的な表情が共存していることに驚かされる。

マラケシュは、まさに「動」と「静」が交錯する街である。

※本コラムは執筆者がモロッコ各地を訪れた際の見聞・体験をもとに構成しています。掲載内容は訪問当時の状況や執筆者個人の見解・感想を含みます。